浮気にもいろんな形があります。例えば「心の浮気」と「体の浮気」の2つです。どちらも同じ浮気ではあるものの、性質が大きく異なり、その浮気を続けたときの結果についても大きな差が生じる可能性を秘めています。
具体的にはどのような違いがあるのか、心の浮気と体の浮気について説明した上で、比較をしていきます。
心の浮気とは
まず言っておきたいのは、「そもそも“浮気”という言葉自体に厳格な定義がない」ということです。
結局のところ人によって「浮気とは何か」に対する答えは異なっています。
「少しでもパートナー以外に心を寄せたときは浮気」と捉える方もいれば、「肉体関係がなければそれ以外は浮気にならない」と捉える方もいます。
“心の浮気”に関しても、はっきりとした定義付けがされているわけではありません。
ただ、浮気と捉えるための指標、判断材料を、心や気持ちといった精神面に求めていることは確かです。
実際、心の浮気と呼ぶとき、多くは「パートナーがいるのに別の人に心を寄せている状態」などと説明されます。
心を寄せるまでの過程、行動などとは関係なく、パートナー以外に気持ちが偏ってしまっている状態自体を浮気と捉える考え方です。
他人に恋愛感情を抱くことを完全に防ぐのは本人からしても難しいことです。そのため心の浮気を防ぐのは容易ではありません。
ただ、「いいな」と軽い気持ちを抱くだけだと現実に大きな問題に発展する可能性は低いです。重要なのは本気で好きになるのを防ぐことです。
肉体関係を持ったり食事に行ったり、といった出会いの機会が与えられることで本気で好きになるリスクは高まりますので、パートナーの行動を注視すれば心の浮気から発展する大きな問題を防ぐことも不可能ではありません。
体の浮気とは
“体の浮気”についてもはっきりとした定義はありませんが、心の状態とは別に、身体の接触があったかどうかに着目します。
そこで「パートナーがいるのに別の人と肉体関係を持つこと」と説明することもできます。
「どの程度の行動からが体の浮気になるのか」という問題もありますが、多くの場合、セックスなどの肉体関係を持つことが判断基準になります。
浮気相手に対する気持ちを伴わないため、ずるずると関係性が続いてしまうというリスクは比較的小さいです。
多くは性欲を解消することが目的であるため、浮気相手に本気になっている可能性は低いと言えるでしょう。
ただし、体の浮気から心の浮気に発展し、恋愛感情を持った上で肉体関係を持つケースもあります。そのため「肉体関係だけなら問題ない」とは言えません。
心の浮気と体の浮気の違い
では、心の浮気と体の浮気の違いをまとめていきます。大きく以下の5つに分けることができます。
- 1. 肉体関係の有無
- 2. 相手への愛情の有無
- 3. 本命が変わる可能性
- 4. 法律上の離婚事由になる可能性
- 5. 証拠を確保する難しさ
それぞれの詳細をみていきましょう。
肉体関係の有無
上述の通り、肉体関係があるかどうかは大きな差です。
心の浮気が認められるために肉体関係は必須の要素ではありません。
これに対して体の浮気は、肉体関係があって認められるものです。
ただ、本気で浮気相手のことを好きになった上で肉体関係を持つこともありますので、「心の浮気をしているときは、肉体関係はない」と言い切ることもできません。
なお、セックスにまで至らなくても、キスをすることが体の浮気にあたると考える人も少なくありません。
相手への愛情の有無
体の浮気では必須の要素ではありませんが、心の浮気において「相手への愛情」は必須です。
どの程度の愛情があれば浮気と捉えるのか、これも人それぞれです。
ただ、肉体関係の解釈とは異なり、愛情の程度は客観的に観測することができません。
そのため心の浮気があったかどうかの判断は、浮気をした本人の自己申告に頼るか、行動から推測するしか方法がありません。
本命が変わる可能性
気持ちが伴っていない体の浮気の場合、浮気相手に愛情がないため、本命が変わるということは基本的にありません。
性欲のはけ口として行っていたり、パートナーとのマンネリ化したセックスに飽きたがゆえにそうした行動を取ったりすることがあります。性欲の解消ができれば関係性を切ることも難しくなく、浮気相手を最優先することも少ないです。その日限り、数回で終わる、というケースも多いです。
これに対して心の浮気は、本命が変わるという可能性を秘めています。
どんどん浮気相手にのめりこんでしまい、「今のパートナーとの関係を切って、浮気相手と新たに関係を築こう」と決断されてしまうことも起こり得ます。
そのため体の浮気より悲惨な結果になってしまうことも多いです。
法律上の離婚事由になる可能性
パートナーと結婚をしている場合は、単なるカップルとは異なり、“婚姻”という法律上の効力が生じています。別れるにも法律で規定された手続を行う必要がありますし、一方的に離婚ができるとも限りません。
協議離婚により相手方の同意が得られれば、基本的にはどんな理由でもかまいません。しかしながら、離婚につき意見が一致しないときは最終的に裁判で争うことになります。そこでポイントとなるのは、民法第770条に規定されている「離婚事由の有無」です。
以下のいずれかの事由が認められることで、裁判所から離婚を認めてもらうことができます。
- 不貞行為
- 悪意の遺棄
- 3年以上の生死不明
- 回復の見込みがない強度の精神病
- 婚姻を継続しがたい重大な事由
浮気はこれら離婚事由のうち“不貞行為”に該当すると考えられます。ただ、法律上の解釈は、肉体関係の有無に着目します。
つまり心の浮気だと法律上の離婚事由に該当しないところ、体の浮気だと該当する可能性があるのです。
パートナーによる浮気が発覚して「離婚をしたい」と考える方にとっては、大きな違いと言えます。
証拠を確保する難しさ
「浮気があったことの証拠を確保する難しさ」にも大きな違いがあります。
特に、浮気を突き止めて離婚や慰謝料を請求する場面では、証拠の確保が結果を大きく左右することとなります。
心の浮気は、その存在を確認することが困難で、パートナーの口から直接聞かない限り確証は得られません。
一方で体の浮気は比較的証拠を掴みやすいです。
浮気相手の自宅を出入りする様子、ラブホテルに出入りする様子を撮影することで、不貞行為があったことを法的にも認めてもらいやすいです。
とはいえ体の浮気に関しても、簡単に証拠が獲得できるわけではありません。
いつ決定的な瞬間をとらえられるのかはわかりませんし、そのときまで張り込みをするなど大変な作業が必要です。そのため証拠を集める際は、浮気調査に対応している探偵事務所に依頼するケースが多いです。