パートナーの浮気が発覚したとき、パートナーに対する怒りや悲しみの感情だけでなく「浮気相手を問い詰めたい」という考えが出てくることもあるでしょう。しかし後先考えず行動をすべきではありません。
ここでは浮気相手に直接連絡することに問題がないのかどうか、どのような点に注意すべきなのか、解説していきます。
浮気相手には直接連絡しないほうが良い
結論から言うと、浮気相手に直接連絡することは避けた方が良いです。
理由はいろいろ考えられますが、大きなものとして「違法行為にあたる可能性がある」ということ、そして「証拠を隠滅させる可能性がある」ということが挙げられます。
理由1:違法行為にあたる可能性がある
パートナーの浮気相手に直接連絡をしたとき、その手段や内容によってはご自身が訴えられる可能性があります。
その可能性が高くなるのは、以下のような行為をはたらいてしまったときです。
- 名誉棄損
- プライバシーの侵害
- 住居侵入罪
- 不退去罪
- 脅迫罪
これらの罪を犯すつもりがなかったとしても、罪として成立してしまうおそれがあります。例えば住所の情報を掴んで浮気相手の自宅に行ったとき、話し合いを拒む相手を制して宅内に入ってしまうと、住居侵入罪が成立してしまいます。自宅に入れてくれたとしても、その後いつまでも居座って帰らないと不退去罪に問われる可能性もあります。
脅すようにして問い詰めることで脅迫罪が成立する余地もありますし、暴言を吐くことで名誉棄損になってしまうおそれもあります。
単に連絡を取るだけでこれらの罪が成立してしまうことはありませんが、感情的に、突発的に動いてしまったとき、これらの違法行為をはたらいてしまうかもしれません。
そのためできるだけ浮気相手に直接連絡することは避けた方が良いです。
理由2:証拠を隠滅される可能性がある
浮気の証拠が十分に集まっていない状況で連絡を取ってしまうと、その後浮気の証拠を隠滅され、慰謝料の請求などが実現できなくなってしまうおそれがあります。
特にパートナーと婚姻関係にある場合は、この点要注意です。
離婚できるかどうか、慰謝料の請求ができるかどうかに証拠の有無が大きくかかわってきます。「早く浮気を止めたい」「早く浮気相手と話し合いをしたい」という気持ちを抑え、自分の立場を有利にするため、まずは証拠集めに着手することが大事です。
浮気相手に連絡するときの注意すべきポイント
仮に、浮気相手に連絡を取るのであれば、最低限次のポイントは押さえておきましょう。
- 感情的にならない
- 浮気相手の勤務先に連絡しない
- 浮気相手の家を訪ねない
- 自分の電話を使わない
これらを押さえておけば、連絡を取ることのリスクを小さくすることができます。
感情的にならない
まず念頭に置いておくべきは「感情的にならない」ということです。
パートナーが浮気をしている事実を突きつけられたとき、自然と感情が高ぶることは避けられません。その怒りや悲しみから、浮気相手に向けて罵詈雑言を吐いたり、誹謗中傷を行ったりすることも、決して珍しい事態ではありません。
しかし、これらの行為は脅迫罪を成立させてしまう可能性があります。連絡手段が電話やメール、LINEであっても変わりはありません。もし、「殴るぞ」「SNSで晒す」「家に火をつけてやる」といった具体的な言葉を使ってしまうと、法的な問題に発展してしまいます。
浮気の事実が明らかになった直後は特に感情が揺れ動き、怒りを浮気相手にぶつけたいという衝動が生まれやすいですが、そのまま感情に流されて行動してしまわないように気を付けましょう。
さらに、実はパートナーが不貞行為をしていなかったというケースも起こり得ます。その場合、浮気相手と思っていた人物から逆に損害賠償責任を追及されることもあります。浮気が事実であったとしても、感情的に不適切な対応を取ることで損害賠償責任を追及されたり、求められる慰謝料が減額されたりする可能性もあります。
結局のところ、冷静な判断と行動が重要です。感情的な対応はご自身にとってマイナスとなる可能性が高いことを肝に銘じておきましょう。
浮気相手の勤務先に連絡しない
パートナーの浮気問題に対処する際の重要な注意点として、「浮気相手の勤務先に連絡しない」ということも挙げられます。
パートナーが浮気をしていたことを知ったとき、浮気相手を困らせ、危害を加える意図で「浮気相手の職場にその事実を伝えてやりたい」と考えることもあるかもしれません。
しかし、これは絶対に避けるべき行為です。このような行為は、浮気相手の名誉を傷つけ、プライバシーを侵害する可能性があり、その結果、ご自身が名誉棄損やプライバシー侵害の訴えを受ける危険性が高まってしまいます。
さらに、浮気相手の職場への電話やメールは、業務妨害と評価されるリスクがあります。浮気相手を攻撃するつもりでも、勤務先の企業からすると連絡をしたあなた自身が加害者のように見えてしまいます。
実際、その連絡等が原因で業務が滞ってしまう可能性があります。業務妨害罪として訴えられることもあり、その結果、刑罰を科されたり損害賠償請求を受けたりするかもしれません。
よって、なるべく個人的に制裁を加えようとは考えないことが大事です。浮気の事実を職場にばらすことで一時的に怒りを発散できるかもしれませんが、自身の法的トラブルを引き起こしてしまいます。
浮気相手の家を訪ねない
浮気相手の家を訪ねる行為もやはり法的な問題を引き起こすリスクが大きいです。
例えば、浮気相手が退去を要求したにもかかわらず、その場を離れないと、不退去罪が成立する可能性があります。無理やり浮気相手の家に入ろうとすることで住居侵入罪に問われることもあります。
また、浮気相手の家族に連絡を取ることも避けましょう。
浮気の事実を家族に知らせるという行為は、勤め先に連絡をするときと同様に、浮気相手の社会的地位を損なうおそれがあります。行き過ぎた行動により、かえってご自身の立場を悪くすることがあります。
自分の電話を使わない
自分自身のスマホを使って直接浮気相手に連絡を取るのは望ましくありません。
間違い電話と偽って連絡を試みるのも効果的とは言えません。「見知らぬ人から突然連絡が来た」という状況が、浮気相手に警戒心を抱かせてしまいます。その結果、今後浮気の証拠を掴むのが難しくなってしまうリスクが高まります。
警戒心を持たれないようにするためには、自分のスマホを使うより、パートナーのスマホを使うことが有効です。なりすまして連絡をすれば浮気相手も警戒ができないからです。
ただし、なりすまして連絡することにも種々の問題があります。例えばその事実がパートナーには知られてしまう可能性が高いことや、不正アクセス禁止法違反に該当するおそれがあるということが挙げられます。
勝手に他人の機器を操作する行為は違法です。特にパスワードなどを入手して勝手にログインするような行動はしてはいけません。
浮気が発覚したら証拠集めを始めよう
浮気が発覚し、浮気相手が明らかになっても極力直接の連絡はしないようにしましょう。問題を解決し、最終的にご自身の望む結果にするためには、冷静に、計画的に取り組むことが大事です。
感情的になって浮気相手の家に怒鳴り込みに行くこと、勤務先に連絡することなどは避けなくてはなりません。そこで、まずは専門家に浮気の証拠集めを依頼することをおすすめします。プロに対応してもらうことで効率的かつ確実な証拠収集ができます。状況によってはプロでも有力な証拠を集めるのが難しいこともありますが、ご自身で対応するより安全に事を進めていくことが期待できます。